テーマ別で単語を覚える学習法は、ぱっと見かなり良さそうです。テーマごとに整理できるし、勉強している感じもあるし、ちゃんとして見えます。
でも、実際にやってみるとうまくいかないことも多いです。
たとえば「旅行」というセットを開くと、passport、suitcase、boarding gate、customs、hostel、sunscreen、それに普段ほとんど見ないような単語まで入っていたりします。1週間後には半分くらい忘れていて、しかも残った単語が本当に必要だったものとは限りません。
だからといって、テーマ別の単語学習そのものが悪いわけではありません。たいていは、単語セットの作り方がよくないだけです。
本当に役に立つ単語セットは、ただ同じテーマで集めたものではありません。実際に使う場面ごとにまとまっていて、その場面で自然に一緒に出てくる単語やフレーズが入っています。そういうセットのほうが覚えやすくて、必要な時にも出てきやすくなります。
広すぎるテーマがうまくいかない理由
いちばん多い失敗は、テーマを広く取りすぎることです。
「旅行」は1つの場面ではありません。実際には、いくつもの場面がひとまとめにされているだけです。
その中には、たとえばこんな場面があります。
- 空港でチェックインする
- 保安検査を通る
- ホテルを探す
- 道を聞く
- 移動中に食事を注文する
- 予約トラブルに対応する
- レンタカーを借りる
- ホストにメッセージを送る
これでは、1つの使いやすいセットというより、ただの寄せ集めです。
人は、単語が1つのはっきりした場面でつながっているほうが覚えやすいです。昔の教科書みたいに、ただテーマだけで並べられたセットだと、記憶が散らかりやすくなります。見れば何となくわかる単語はあっても、実際に使うのはぐっと難しくなります。
だから、広いテーマよりも、狭くて具体的なセットのほうがうまくいくことが多いです。
「食べ物」ではなく「カフェでランチを注文する」
「仕事」ではなく「会議で短く近況を話す」
「旅行」ではなく「ホテルでチェックインする」
この切り替えだけで、かなり変わります。
使える単語セットに共通すること
良い単語セットは、だいたい1つのシンプルな質問に答えられます。
どこで使うのか。
この答えがあいまいなら、そのセットは弱い可能性が高いです。答えがはっきりしていれば、そのセットにはちゃんと役目があります。そういうほうが頭にも入りやすいです。
良い単語セットには、だいたい共通点があります。
1つのセットに、1つの場面
ぼんやりした大きなテーマのセット1つより、実際の1場面にしぼった小さなセットのほうがずっと役立ちます。
たとえば、こういうものです。
- 自己紹介をして軽く雑談する
- コーヒーを注文して変更をお願いする
- オンライン会議に参加する
- 道を聞いて、答えを理解する
- 締切についてクライアントにメッセージを送る
- 薬局で必要なものを伝える
- ホテルでチェックインする
こういうセットでは、単語同士が助け合います。1つ出てくると、他の単語やフレーズも一緒に思い出しやすくなります。
名詞だけにしない
ここで単語セットがひっそり使いにくくなることがよくあります。
たとえばホテルのテーマで、こんなふうに作ってしまうことがあります。
hotel, room, key, bed, towel, floor
たしかに関係はあります。でも、実際の会話はそうではありません。
本当の言葉には、動詞も形容詞も、すぐ使えるフレーズも必要です。使えるセットには、だいたい次のようなものが入っています。
- よく使う名詞
- よく使う動詞
- 出番の多い形容詞
- そのまま言える短いフレーズ
ホテルのセットなら、こちらのほうがずっと実用的です。
- 部屋
- 鍵
- 予約
- チェックインする
- チェックアウトする
- 予約しています
- うまく動いていません
- 手伝っていただけますか
- 空いている
- 遅い
こうなると、ただの単語一覧ではなく、実際の場面に近づきます。
小さめに作る
大きいセットは立派に見えます。でも、覚えられるのは小さいセットのほうです。
コンパクトなセットのほうが復習しやすく、音声でも回しやすく、例文でも確認しやすく、双方向でも練習しやすいです。1回で80語集めても、その後の数日間は「まだ覚えてる気がする」で終わりがちです。
小さいセットなら、いちばん大事なことに時間を使えます。ちゃんと繰り返して、定着させることです。
今の自分の生活に近い
いちばん良い単語セットは、一般論としていちばん大事なものとは限りません。近いうちに自分が使いそうなものです。
旅行の予定があるなら、オフィスの単語より、移動やホテルの言葉のほうが大事です。
英語でクライアントとやり取りするなら、家具のセットより、短い仕事メッセージのほうが使えます。
簡単な質問をされるたびに止まってしまうなら、難しいテーマより、基本的な返事のセットのほうがずっと助けになります。
本当に役立つ単語は、理想の勉強計画より、今の自分の1週間に近いところにあります。
強い単語セットの作り方
テーマ別の単語学習をちゃんと機能させたいなら、テーマ名から始めないほうがいいです。まず考えるべきなのは、場面です。
カテゴリーではなく、場面から始める
まず、自分にこう聞いてみます。
- 何をもっと聞き取れるようになりたいか
- 何を言えるようになりたいか
- どんな場面で止まってしまうか
- どんな会話が何度も出てくるか
こう考えたほうが、「次はどのテーマを勉強しよう」よりずっと強い土台になります。
たとえば、こういう出発点はかなり実用的です。
- 自分の仕事をうまく説明できない
- 食べ物を注文する時によく困る
- 日常の短い質問が聞き取れない
- 簡単な会話を続けられない
- 仕事の通話で詰まりやすい
- 旅行でよく使う表現をもっと増やしたい
どれも、そのまま使えるセットになります。
中心になる語から広げる
関係ありそうだからという理由だけで単語を足していくのはおすすめしません。まず中心になる5個から7個くらいの単語やフレーズを決めて、そこから本当に必要なものだけを広げます。
たとえば「オンライン会議」のセットなら、中心はこんな感じです。
- 通話に入る
- ミュート
- ミュートを外す
- 画面
- 画面共有
- 話し合う
- 締切
そこに、自然に入るものだけを足します。
- 後で連絡する
- 後で送る
- 接続
- 日程を変更する
- 空いている
これは自然です。
でも、仕事のやり取りに関係あるからといって、急に「会議ホール」みたいな単語を入れると、セットがぶれてきます。
良いセットは、ちゃんと筋が通っています。
単語だけより、フレーズを優先する
単語を1語ずつ覚えるのも役には立ちます。でも、フレーズのほうが使いやすいことが多いです。
たとえば、delay という単語を知っていても、実際には言えないことがあります。でも、こういう形なら覚えやすくて、そのまま使えます。
- 遅れています
- 遅くなってすみません
- フライトが遅れています
同じように、こちらも使いやすいです。
- スケジュール
- スケジュールを変更する
- 何時が都合いいですか
- 明日に移しましょう
実際の会話では、辞書の見出し語を1個ずつ並べて話すわけではありません。かたまりで話します。だから、単語セットもそれに近い形にしたほうが、使えるようになるのが早いです。
弱いセットのサイン
見た目は整理されていても、実はうまく働かないセットもあります。たいてい、問題はすぐ出ます。
弱いセットには、よくこんな特徴があります。
- めったに使わない単語が多い
- 名詞ばかりで、動きのある表現が少ない
- フレーズがほとんどない
- いくつもの場面が混ざっている
- 実際にどこで使うのかがはっきりしない
簡単なチェック方法もあります。
そのセットを見て、短い会話を1つ想像してみてください。そこに、その単語やフレーズの大半が自然に一緒に出てきそうでしょうか。
無理そうなら、そのセットは広すぎるか、ばらばらすぎる可能性が高いです。
テーマの考え方を少し変える
「テーマ別の単語学習」と聞くと、多くの人は学校っぽい分類を思い浮かべます。食べ物、旅行、仕事、健康、買い物、といった感じです。
たしかに整理しやすいです。でも、記憶の助けになるには、少し抽象的すぎることが多いです。
もっと使いやすいのは、テーマの中をさらに場面ごとに分ける考え方です。
たとえば、「食べ物」という大きなテーマ1つではなく、こう分けます。
- メニューを読む
- カフェで注文する
- 料理の変更をお願いする
- 会計をする
- 自分が好きな食べ物について話す
こうすると、それぞれのセットに形が出ます。単語もフレーズも例文も、ちゃんとまとまりやすくなります。復習もしやすくなりますし、ただ知っているだけの飾りの単語ではなく、自分の中で使える語彙になりやすくなります。
最初に何を勉強すればいいか
何から始めればいいかわからないなら、まずはよく出てくる場面から、しかもシンプルなものから始めるのがいいです。
最初のセットとして使いやすいのは、たとえばこんなものです。
- 自分のことを話す
- 毎日の習慣について話す
- 短い質問をしたり答えたりする
- 食べ物やコーヒーを注文する
- 移動や道案内
- いつもの仕事や勉強で使う言い方
- よくあるトラブルやお願い
これが良いのは、「初心者向けテーマ」だからではありません。何度も出てくる場面だからです。同じ場面が繰り返されるほど、記憶は強くなります。結局そこがいちばん大事です。
今日やること
今夜いきなり5セット作って、12分だけ満足するのはやめたほうがいいです。1つだけでいいので、使えるセットを作って、実際に使える状態にしてください。
やることはシンプルです。
- 近いうちに出会いそうな場面を1つ選ぶ
- 重要な単語やフレーズを5個から7個書き出す
- 実際に言いそうな動詞や短い表現を足す
- 珍しいもの、あいまいなもの、関係が薄いものを消す
- 本当に復習できる大きさにとどめる
最初のセットとしては、「簡単な会話で自己紹介する」「カフェで注文する」「オンライン会議に参加する」あたりで十分です。
十分どころか、それでかなりいいスタートです。
こういうやり方のほうが、あとで効いてくる
単語セットが狭くて、実用的で、ちゃんと繰り返せる形になっていると、ただの勉強材料ではなく、自分の言葉に変わっていきます。
例文の中でまた出てきて、音声で聞いて、忘れる前に復習して、さらに双方向で練習すれば、「見ればわかる」から「必要な時に言える」に変わっていきます。
単語を集めるのと、語彙を作るのは別のことです。
前者は、やった気になります。
後者は、本当に話す力につながります。
使える形まで持っていくことが大事です。
せっかく良い単語セットを作っても、繰り返し、例文、練習がなければ、またきれいなリストで終わってしまいます。My Lingua Cards なら、しぼった単語セットをカード学習に入れて、例文、音声、復習を通して、整理されたままで終わらせず、ちゃんと定着につなげていけます。双方向で練習できるので、テーマ別に覚えた単語を、見てわかるだけでなく、自分で思い出して使える形に変えやすくなります。
最初は、実際の場面から小さなセットを1つ作って、それを学習の流れに入れ、自然に感じるまで回していくだけで十分です。テーマ別の単語学習は、ちゃんと使う場面と役目を持たせた時に、初めて本当に機能し始めます。